録音済みファイルから不要な雑音を消去したいのですが。

まず大前提として、この種の作業の正否は、作業者の知識、経験、技術、およびある種の根性（笑）の有無が決め手になります。ソフトの機能は二の次です。要するに、プラグイン一発で、ノイズが消えて「おおお！　スゲ〜！！」なんて奇跡のようなことは、絶対にありません。
以上を踏まえて、あえて Logic だけでやるとすれば、
・サンプルエディタで録音されたオーディオファイルを開き、講演の音声と雑音が重なっていない、雑音だけの部分を、隅から隅まで探して、消します（機能メニューのサイレンスを使うのが、良いと思います）。
・付属の EQ タイプのプラグインで、音声の帯域をブースト、その他の帯域をカットする。どの EQ を使うかはケース バイ ケースですが、一般的に多バンドのグラフィック EQ のタイプが良いと思います。Pro7 ならLinear Phase EQ、Express7 なら Logic 付属のより、OS 付属の AUGraphicEQ のほうが良いかも。EQ ではなく、AUMultibandCompressor を使っても良いと思います。
・雑音成分を除去すると、どうしても講演の音声の成分も一部失われてしまうので、それを補う処理を加えます。コンプかけたりノーマライズしたり、エキサイターかけたり、、、、。
などなどでしょうか（ケース バイ ケースでやったりやらなかったりすることも多いので、その録音された音を聞かないと、これだ！　と言えない、、、）。
Logic のサンプルエディタでの作業は、基本的に破壊的編集なので、元のオーディオファイルのバックアップをとった上で行ってください。
＃仕事の一部として、この種のことを依頼されることが結構あるんですが、もし Logic だけでやれ、と言われたら、正直しんどいです＾＾；　なので、がんばってください。

さっそくの情報、ありがとうございます。感謝いたします。
コツコツやる以外にないというご回答でした。
音が重なって無い部分から雑音を消すというのは理解できます。（作業は大変ですね）
お手数ですが、重なった部分の音声の帯域をブースト、その他をカットという手法を、
もう少し詳しくお教えいただくわけにはいかないでしょうか？
EQについて勉強が不足していると実感しています。
お世話になります。

> 音が重なって無い部分から雑音を消すというのは理解できます。（作業は大変ですね）
プラグインの Noise Gate で、ある程度自動化というか手間を減らせる場合があります。ただ経験的に、雑音の除去が必要になるようなコンデションの素材だと、Noise Gate では歯が立たないことが多いです。
> お手数ですが、重なった部分の音声の帯域をブースト、その他をカットという手法を、
> もう少し詳しくお教えいただくわけにはいかないでしょうか？
現物の素材を手にしないと、あれ以上文章で書くこと無いんですが、、、＾＾；
うーん、まず、素材の中で、できるだけ雑音がかぶらずに音声だけがクリアに録音されている部分を探します。その部分を再生しながら、プラグインの MultiMeter や EQ の Analayzer モードで観察して、音声に必要な周波数帯を確認します。
この結果を元に EQ のカーブを作ります。音声に必要な周波数帯を +2〜+6 くらいブースト（もっと大きくブーストもできますが、歪んだり好ましくない音色変化を引き起こすことがあります。ま、ケース バイ ケースで）、それ以外の帯域は思い切ってカットします。
EQ の帯域は、互いに干渉して全体のカーブを形成していきますから、プラグインの画面と実際の音の変化で確認しつつ、慎重に操作してください。急激に操作すると、ふいにものすごい大きな音が出たりして、機器や耳を痛めることがあるので、注意してください。
このあたりで、うまくいってくれると楽なんですが、現実にはそうはいかないでしょう＾＾；　除去したい雑音が、音声の帯域にも分布しているのは、よくあることです。
今度は雑音だけの部分を、先ほどの方法で分析して、雑音の周波数成分の分布を確認します。それを元に、さらに EQ でカットする周波数帯を絞り込みます。もしくは別の EQ、今度はパラメトリックタイプが良いでしょう、で、ピンポイントにカットするようにします。
長時間の録音だと、最初と最後では、雑音の種類が変わっていたり、突発的な雑音が入っていることもあるでしょう。それらはリージョンを分けたり、プラグインのオートメーションを書くことで対応します。
Logic には、DeNoise、MatchEQ など、一種の学習機能（？）を持ったプラグインもあり、それらも応用次第では雑音除去に役立つことがあります。つか、Logic のすべてのプラグイン、機能が、雑音除去に役立つ可能性があります。要は、使う人のアイディア次第です。録音の基本は、雑音を入れないことですから、それをはずしてしまっている以上、もはやセオリーに拘る必要はありません。「立ってるものは、親でも使え」です。
＃作業者の技量で、大きく結果が変わってくる内容ではありますが、どんな熟練者の手でも、もうどうすることもできないということも、少なからずあります。ただ熟練者は素材を一通り聞いただけで「こりゃダメだ」と分かり、無駄な時間を費やしません。この見極めができるのが、熟練者と初心者の最も大きな違いかもしれません。

とても丁寧に、リアルに教えていただき、ほんとうにありがとうございます。
ほんの少しでも技量があがるように、試行錯誤してみます。
本件とは直接的な関係はないのですが、「世界初、リアルタイム・高精度で、聞きたい音だけを抽出できる音源分離技術を確立」（神戸製鋼）というページをネットで見ました。（www.kobelco.co.jp/topics/2005/10/1174814_2911.html)
音を扱う技術はまだまだ進化しているのですね。
感謝！

ヨコから失礼いたします…
元信号に対して逆位相をぶつける事で音をマスクする、という手法ってありますよね。
首都高や幹線道路の一部に設置されている消音壁でも使われているはずですが…。
これをヒントに素人の浅知恵で思いついたのですが、
例えば今回の元ソースを一つ複製。
それに対して音声帯域をカットする処理を施し、さらに位相を反転させる。
このソースと元のソースを同時に再生すると‥‥‥、どうなりますかね？
やっぱ、この程度の事では不要な音をマスクするのは無理ですかね？（苦笑）
思いつきで書いただけなので「そりゃ無理ですわ」とあしらっても結構です(^^;

音データの編集はやったことが無いので、具体的には分かりませんが、
>音声帯域をカットする処理
が難しそうですけど。

ありがとうございます。
アイディアは聞いたことがあるような気がします。
詳しく、論じていただけると楽しいのですが？
よろしく、お願いいたします。

面白いですね。
講演の素材がステレオで収録されていて、かつ講演者がセンターに位置しているなら、次のような手順でできるかも。
以下、思考実験。オリジナルの素材を、素材A としておきます。
１）素材A をモノラルにバウンスして、素材A' を作成。
２）素材Aの左チャンネルのみの位相を反転して、再びモノラルにバウンスして、素材B を作成
＊素材B は、ヴォーカルキャンセラーの原理で、講演者の音声のみが消えているはず！
３）素材B の位相を反転し、素材A' とバランスを取りながら、バウンスする。
＊素材B の環境音と素材A' の環境音が打ち消し合って、結果素材A' の講演者の音声だけが残る！！
以上。
おおー、大成功じゃん＾＾
＃現実には、そう容易くは行かないでしょうけど、条件が整えば、うまくいく可能性はありますね。上記の手順は、Logic だけで可能かどうかは考慮してないので、その辺も含めて、誰か実際に検証して。

［リンクをクリックする際、再生機器の音量にご注意ください］
手頃な素材が無かったのでそれっぽいものを作って試しました。
あらかじめご承知おきください。【元のソース--素材A】
→フリーの環境音に、MacOSX に喋らせたものをオーバーダブ
　喋りにはあえてわずかなリバーブをかけてあります
　中間をすぎたあたりで車が通ります
手順は翡翠さんがあげて下さった行程に準じています。
１）素材A を mono にバウンス＝素材A'
２）位相反転させた素材A-Left と、元位相のままの素材A-Right を mono バウンス【Voc Canceled--素材B】
　　中央定位の音声だけが消える（中央から外れているわずかな残響は残留）
３）位相反転させた素材B と mono バウンスしておいた素材A' を同時に鳴らす【結果】
やっつけ作業で試してみましたが、それなりの効果は得られそうです。
時間をかけてもっと細かな作業をするともっと良いかも。
ちなみに作業自体は Logic Express 7.1.1 だけを使っています。
Effect は音ネタ作りをした際の reverb 以外は全く使っていません。
＜資料＞
元ファイル：MP3、667.3 KB
Voc Canceled：MP3、330.0 KB
final：MP3、334.7 KB
再生時間はいずれも約34秒です

検証ありがとうございます。
人工的に作った素材とは言え、想像していた以上に、雑音減りますねー。とくに自動車の走行音には効いてますね。これなら、他の方法と併用すれば、さらに大きな効果が期待できそうです。

ありがとうございます。
きっかけを発信した者として、すぐにでもお教えいただいた作業に取り組むのが礼儀なのですが、手が付けられずにいます。
なるべく近いうちに試してみたいと思います。
この件について、さらなるご提案をいただければ幸いです。
みなさま、よろしくお願いいたします。