PDFの余白除去をマッキントッシュでする方法

How to crop a PDF file on Mac OS X (Macintosh)

PDFファイルの余白除去は、Windows では出来るけど、Macintosh では出来ないなどという、とんでもない誤解が流布されているようなので、ここに、その誤解を正したいと思います。PDFファイルの余白除去は、Macintosh Mac OS X でも、簡単に出来ます。Mac OS X に付属の「Preview」でも出来ますし、「Adobe Acrobat」のマック版でも出来ます。

※メニューやダイアログやアプリケーション名などは、英語表記とさせて頂きます。

「Adobe Acrobat」のマック版をお持ちなら、「Document」メニューから「Crop Pages...」コマンドを選んで、余白を除去した後、「File」メニューから保存します。（貴重なファイルなら、別名で保存するか、或いは、最初にバックアップを取っておくべきです。）

Mac OS X に付属の「Preview」(Preview.app)なら、「Tools」メニューから「Crop」コマンドを選んで、余白を除去した後、「File」メニューから保存します。（貴重なファイルなら、別名で保存するか、或いは、最初にバックアップを取っておくべきです。）

但し、「Preview」の「Tools」メニューの「Crop」は、普段はdim(薄字で無効)になっています。「Crop」をsolid(濃い字で有効)にするには、あらかじめ、「Tools」メニューの「Select Tool」(Cmd-3)を選んで、クロップしたい範囲を、ドラッグして囲んで選択しておく必要があります。囲み選択をしてから、Tools > Crop をします。

全ページを、同様にクロップしたい場合は、Sidebarの中の全てのthumbnailsを選択しておくと、１つのページ上で行なった囲み選択が、全てのページに及びます。

Sidebarの中の全てのthumbnailsを選択する方法は、判りにくい場合もあるので、詳しく説明しておきます。

a. もし、Sidebarが隠れている場合は、View > Sidebar > Show Sidebar (ShftCmd-D) によって、Sidebarを出現させます。

b. もし、Sidebarの中に、thumbnailではなく、目次などが表示されていたら、View > Sidebar > Thumbnails (OptCmd-2) によって、thumbnailsを表示します。

c. Sidebarの中に、thumbnailsが表示されたら、先ず、Sidebar内の適当などこかをクリックして、それから、Edit > Select All (Cmd-A)によって、全てのthumbnailsを選択します。

さて、「Adobe Acrobat」の「Crop Pages...」コマンドも、「Preview」の「Crop」コマンドも、どちらも、クロップする前の余白のある元々のファイルのデータを残したまま、クロッピング情報を付け加えるだけです。こうして保存したPDFファイルを、「Preview」で再び開けた場合、クロップする前の余白のある元々の状態が表示されるのか、それとも、クロップされた後の余白の無い状態で表示されるのかは、「Preview」の設定によります。クロップされた状態を表示するには、View > PDF Display > Crop Box を選びます。クロップされる前の余白のある元々の状態を表示するには、View > PDF Display > Media Box を選びます。

このような、クロッピング情報を持ったPDFファイルを、「Kindle Paperwhite」など、他の機器や他のソフトで開いた場合、ちゃんと、クロッピング情報を認識して、余白を切り取った状態で表示してくれるのか、保証できません。ですから、クロッピング情報を付け加える方式ではなく、PDFデータから余白を物理的に除去する方法も、一応、記しておきます。

「Preview」を使って、余白を物理的に除去する方法

0. PDFファイルを、「Preview」で開ける。

1. File > Print... (Cmd-P)

2. Printダイアログの画面に於て、「Scale」ラジオボタンを選び、その倍率を「100%」に設定する。

もし、「Scale」ラジオボタンが、無ければ、その原因は２つ考えられます。もし、Printダイアログが、小さな簡易表示だった場合は、一番上の「Printer:」フィールドの右隣りのプリンター名の更に右隣りの小さな四角いボタンに、下向きの三角矢印が付いているはずですから、その小さな四角いボタンをクリックすると、ダイアログが、拡張されて、大きな詳細表示になると共に、先程の下向きの三角矢印が、上向きになります。これで、「Scale」ラジオボタンが出現するはずです。

もし、Printダイアログが大きな詳細表示なのに、それでも、「Scale」ラジオボタンが、無ければ、その原因は、ダイアログ画面の中程にあるポップアップメニューが「Preview」以外（LayoutとかColor Matchingなど）になっているからなので、このポップアップメニューを「Preview」にすれば、「Scale」ラジオボタンが、出現するはず。

3. Printダイアログの画面に於て、「Paper Size」の右にA4などと表示されているでしょうが、そこは、ポップアップメニューになっていて、それを「Manage Custom Sizes...」にする。

4. 「Custom Pager Sizes」ダイアログの画面に於て：

4a. 画面左下の「＋」ボタンをクリックして、新規のサイズ設定を作る。この新規のサイズの名前は、デフォルトではuntitledとか新規とかになっているかもしれませんが、判りやすいように、MyCustomSizeとかに、名前を変更しておくとよいでしょう。

4b. 画面右の「Non-Printable Area」(印刷不能範囲)を「User Defined」にし、上下左右を全て、「0」に設定する。つまり、余白を除去したいなら、印刷不能範囲を「0」にしておく必要があります。

4c. 画面右上の「Paper Size」に、色々な値を入れては、「OK」ボタンをクリックして、Printダイアログの画面で、その効果を確かめる。ここに入力する値が小さすぎると、余白どころか、本文まで、切り取られてしまいます。値が大きすぎると、余白除去どころか、逆に、余白が増えます。試行錯誤しながら、最適な値を見付けて下さい。

5. Printダイアログの画面左下の、PDFポップアップメニューから、「Save as PDF...」を選ぶ。余白が物理的に除去された状態のPDFファイルが、ここで、保存されます。

倍率が先か、自由用紙サイズが先か：

上記の方法では、先ず倍率(Scale)を「100%」に固定して、それから自由用紙サイズに色々な値を入れて試しました。しかし、「iPad Mini」とか「Kindle Paperwhite」とか、特定の端末用にPDFファイルを調整したいのであれば、先ず、自由用紙サイズを、その端末の画面サイズに固定して、それから、倍率(Scale)に色々な値を入れて試す、という順序でも良いかもしれません。

備考：Printダイアログの自由用紙サイズを利用してクロップする方法では、左右均一・上下均一のクロッピングしか出来ません。一方、「Adobe Acrobat」の「Crop Pages...」コマンドや、「Preview」の「Crop」コマンドなら、左1cm・右2cmのような左右不均一のクロッピングや、上1cm・下2cmのような上下不均一のクロッピングも出来ます。

備考：「Adobe Acrobat」の「Crop Pages...」コマンドも、「Preview」の「Crop」コマンドも、Printダイアログの自由用紙サイズを利用してクロップする方法も、この３つの何れの方法でも、元のPDFファイルに透明テキストが付いて入れば、クロッピング後のPDFファイルにも、ちゃんと、透明テキストが保存されます。

ビギナーさんのための補足：

PDFファイルを「Preview」(Preview.app)で開ける方法なんか、初歩の初歩ですので、そんな事まで記載すると、中・上級者の人が鬱陶しがるので、上では述べませんでしたが、ここに、一応、記載しておきます。

PDFファイルを右クリック(Control-Click)して、Open With > Preview を選べば、Previewが、そのPDFファイルを開きます。

PDFファイルのデフォルトのアプリケーションがPreviewになっていれば、PDFファイルをダブルクリックするだけでも、Previewが、そのPDFファイルを開きます。

※アドビー社のAcrobatだから「Adobe Acrobat」。アップル社のPreviewだから「Apple Preview」か、それとも、マックのPreviewだから「MacPreview」かな。