boss1981jp さんによる書き込み:
数週間程度前より、平成明朝体W3、平成角ゴシック体W3の2種類のフォントが、pages,Keynote上で正しく表示されない(文字化けした状態)という現象が発生するようになり大変困っています。
これ(↓)ですね?:

[Pages ’09 4.0.5 (852)]
その文字化けした文章をコピーして、例えば、テキストエディットに貼り付けたりすると同一フォントで正しく表示されます。
これ(↓)ですね?:

[Jedit X Rev.2.27 (build 22322) (2011-02-16)]
この逆で、テキストエディットで作った文章をpages,Keynoteに貼り付けるとやはり文字化けをします。
Jedit X でも同じ現象が発生することが確認できました。
フォントの設定を他の日本語フォントに変えると正しく表示されます。
当方の Pages ’09 4.0.5 (852) でも文字化けしているフォントを他のフォントに変更すると、きちんと読めるようになりました。このことから、文字コード自体はきちんと反映されているようです。それを実際にグリフとして出力するデータに(ベクトルデータの関数に?)問題があるのではないでしょうか?
当初は、フォント自体が壊れているのかなと思ってフォントの入れ替えをしましたが、状態は変わりませんでした。
他のソフト上では正しく表示されているので、やはりフォント自体の問題ではないような気がします。
私は逆にフォントの問題のような気がしています。今回、MacBook Pro (17", Late 2006) を MacBook Pro (17", Early 2011) に買い替えました。今回は過去のフォントは隔離していて、基本は、MacBook Pro (17", Early 2011) 購入時にインストールされていたフォントと、Adobe Creative Suite 5 Master Collection と Microsoft Office for Mac 2011 を新規インストールしたときに追加されたフォントのみです。ですから、フォントの異常はあまり考えにくい状況です。で、平成フォントを探したのですが、見当たりません。どうやら、Mac OS X 10.6 [Snow Leopard] では平成フォントはインストールされなくなったようです。(今、思えば、このような問題が発生する可能性があったので削除されるようになったのかもしれません。)
そこで過去のバックアップから平成フォントを探し出してきて、インストールして比較してみました。インストールしたのは以下の一覧にある3つの平成明朝 W3 フォントです。比較のためヒラギノ明朝 ProN W3 のデータも入れてあります。:
File Name | 平成明朝 W3 | 平成明朝 W3 Acrobat | 平成明朝 | ヒラギノ明朝 ProN W3.otf |
╳ | ╳ | ╳ | ◯ |
Size | 4,850,244 bytes | 783,167 bytes | 8,104,508 bytes | 9,731,132 bytes |
Name | HeiseiMin-W3 | NeiseiMin-W3-Acrobat | HeiseiMincho W3 | Hiragino Mincho ProN W3 |
Family Name | HeiseiMin | HeiseiMin | HeiseiMincho | Hiragino Mincho ProN |
PostScript Name | HeiseiMin-W3 | NeiseiMin-W3-Acrobat | HeiseiMincho W3 | HiraMinProN-W3 |
Style | W3 | W3 | W3 | W3 |
Unique Name | Adobe Systems 平成明朝 W3 | Adobe Systems 平成明朝 W3 Acrobat | Apple Computer HeiseiMincho W3 | Dainippon Screen Mfg. Co., Ltd. Hiragino Mincho ProN W3 |
Format | TrueType | TrueType | TrueType | OpenType |
Format (detailed) | TrueType (Mac) | TrueType (Mac) | TrueType (Mac) | OpenType (PostScript Flavored) |
Version | 3.010, sfntc 2.4b3, 01 Oct 96 10:07 | 3.011, sfntc 2.4b6, 07 Mar 97 13:35 | 0003.04.01. | 8.00 |
Copyright | 1996 Adobe Systems Incorporated | 1997 Adobe Systems Incorporated | 1990-2000 Apple Computer, Inc. | ver 8.00, 1993-2007 Dainippon Screen Mfg. Co., Ltd. |
Designer | JIYUKOBO Ltd. |
Manufacturer | Adobe Systems, Inc. | Adobe Systems, Inc. | Dainippon Screen Mfg. Co., Ltd. |
Vendor | Unknown | Unknown |
Font ID | -447 | -2240 | 15425 |
Characters | 63,923 | 63,923 | 0 | 20,599 |
これらのデータは Linotype GmbH 社製の FontExplorer X 2.5.2 (build 5152) で取得しました。(この表は Numbers ’09 2.0.5 (368) で作成したものを単純にコピペしました。こんなことができたんですねぇ〜。)
結果は Pages では平成系フォントはどのバージョンも全滅でした。FontExplorer X で確認すると、ヒラギノ系が PostScript 系の OpenType フォントであるのに対し、平成系は全てが TrueType フォントであること、Adobe が作った古い2つのバージョンは、どちらも登録字母数が 63,923 文字(そんなに入っているはずがない!)で、最新の Apple が作ったバージョンは登録字母数が 0。また古い2つは Font ID の先頭にマイナス記号が付いているのに、最新のものには付いていません。さらに、最も新しいヒラギノの場合は Font ID そのものが存在しないようです。(このテストをする前に1度フォントキャッシュをクリアして、MacBook Pro を再起動してあります。)
FontExplorer X でそれぞれのフォントに収録されている文字の一覧を表示させると、平成系のフォントは古いものは全て同じように文字化けしたフォントが表示されます。最新の平成では何も表示されません。ヒラギノではきちんと字母が表示されます。
FontExplorer X で平成系のフォントの情報を取得しようとすると、以下のようなエラーメッセージが表示されます:

私はフォントのことは詳しくないのですが、平成系のフォントに共通していることは:
- 全て前世紀に作成されたフォントであること。
- 全て TrueType であること。
- Font ID を持っていること。
- Pagesだけではなく、FontExplorer X でも問題があることが確認されていること。
これらから推定すると、平成系フォントは「設計が古い」ものであり、フォーマットも「TrueType」であることもあり(私は一部の TrueType フォントが Microsoft Office for Mac 2011 のフォント管理をおかしくする現象を経験しています)、さらに OS がバージョンを上げるに従って、OS の基準を満たせなくなり、(安全のためにも)OS の基準を厳密に適用するアプリケーションではフォントがきちんと表示されなくなってしまうのではないかと想像します。ちょうど「プレビュー」では問題なく開ける PDF ファイルが、純正の Adobe Acrobat で開こうとすると、開けなかったり、文字化けするのと似た現象かもしれません。純正のアプリの方が厳密にファイルを診断しているのかもしれません。
平成系のフォントの場合は、そこまでシビアにフォント・チェックをしないアプリケーションでは問題が発見されにくいのかもしれません。
平成系フォントは(一見)問題なく開ける場合も多いですが、ダメな場合も散見されます。さらにフォント管理ソフトである FontExplorer X は明示的に問題のあるフォントだと判断しています。たぶん、このことが最近の Mac OS X では平成系フォントがインストールされなくなったことの理由のような気がします。
どうやら、平成系のフォントは今後は使わないようにした方が良いのかもしれません。
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Apple MacBook Pro (17"/Intel Core i7/2.3 GHz/8 GB RAM/512 GB SSD/HR-AG)
Mac OS X 10.6.7 (Build 10J869) [Snow Leopard]