siotti さんによる書き込み:
ということはpagesではイタリックにすることはできないということですか。
「イタリック体のフォントが用意されていないフォントに関しては(存在しないのだから)イタリック体にはできない」ということに過ぎません。「イタリック体のフォントが用意されているフォントの場合は当然イタリック体にできます」。
「イタリック体」(italic) とは書体の名称のことであり、「斜めになっている字体」一般を指すものではありません。「斜体」には単に文字を傾けただけではなく、筆記体的な要素を加えた「イタリック体」の他に、単に機械的に文字を傾けただけの「オブリーク体」(oblique) があります。(他にもあるかも...?)
私は Pages の設計者ではないので、設計者がどのような仕様にしているのかは知る術がありませんが、観察している限りにおいては、イタリック体の専用フォントが用意されているフォントに関してはイタリック体の機能が有効になっており、イタリック体の専用フォントが用意されていないフォントに関しては有効にできないということなのでしょう。
「Pages ではイタリックにすることはできないのか?」という質問に対しては(筋論では)「できる」というのが回答になります。ただし、siotti さんが期待している、と言うか理解している意味では「できない」という回答になると思います。
なお、OS X ではあるフォントを使っている時に、そのフォントに存在しない字母(文字)を入力しようとすると、自動的にその字母を表示できる別のフォントを代用して表示する機能があります。書体に関しても同じように理解するとわかりやすいかもしれません。(より厳密な作業が必要な出版用のソフトである InDesign では、存在しない字母を入力しようとすると赤色に文字化けして編集者に警告するように設計されています。つまり、勝手に代用は去れません。)
つまり、「ヒラギノ明朝 ProN W3」(仮にこれをレギュラー体と呼んでおきます)を使っている時に「ボールド体」を選択すると、存在する「ヒラギノ明朝 ProN W6」に切り替わりますが、「イタリック体」を選択しても「ヒラギノ明朝 ProN イタリック W3」が存在しないので、本来ならば、そこが全て文字化けしてしまうことになります。そこで(何も読めなくては困るので)「ヒラギノ明朝 ProN イタリック W3」を「ヒラギノ明朝 ProN W3」で代用してとりあえず、読めるようにしているだけだということでしょうか?
Word の場合は、内部処理でイタリック体のフォントが用意されていない日本語フォントもイタリック体を選択すると、機械的に計算して斜体にして表示し、かつ印刷時にもそれでラスタライズして出力するようにしています。この方法だと一応日本語でもイタリック体に対応しているように見えますが、きちんとイタリック体として設計されているフォントを使っているわけではないので、デザイン上やレイアウト上色々な問題が出てしまいます。(例えば、現在のフォントはベクトルフォントと呼ばれるもので、関数で字体を定義しているわけですが、フォントサイズを変更させた場合には単純にサイズを変更させているのではなく、フォントサイズを小さくした時にはフォントデザインが小さな文字に適切になるような情報が組み込まれています。単純に小さくしてしまうと読みづらくなり、汚らしくなってしまうからです。)
そのような多少の問題が発生しても、とりあえず、斜体が使えた方がよいだろうというのが、Word の設計思想であろうし、きちんと使えないものは使うべきではないという厳密な仕様を追求しているのが Pages の設計思想なんだろうなと思います。これはどちらが正しいといった問題ではなく、設計思想の違いなんだろうと思います。
私個人の意見(好み)としては、Pages でも InDesign のように文字を任意の角度に傾ける機能(InDesign ではこれを「歪み」と呼んでおり、任意の角度に歪めることができます)程度は実装してもらいたいと思います。さらに、イタリック体の書体が存在していないフォントの場合は、イタリック体を選んだ場合、事前に設定した角度に歪めてくれる(Word のような)擬似イタリック体化の機能もあっても良いだろうと言うか、あった方が良いだろうと考えています。で、この機能は「環境設定...」でオン・オフができるようになっていると良いですね。
で、そのような要望がある場合には、Apple にフィードバックしましょう (^^)! 要望が多く集まれば、Apple も対応してくれるかもしれません。