xkubota さんによる書き込み:
しかも、今のケースでは「iPad の中にマスタデータがあり」と書いたとおり
で、ipadの中身はPC-Aから同期した内容ではありません。iPad だけで蓄積したデータが多々あります。
今回は、なかなか手軽な、良い方法が見つからないようで、大変ですね。巨大なデータのやりとりは、「Bitocasa」のサービスなどを利用するのが良いかもしれません。「Dropbox」が有名ですが、Dropbox の難点は、ファイルのアップロードに異常に時間が掛かってしまうことです。
さて、皆さんも、書かれていることですが、「iPad の中にマスタデータがあり」という使い方は iPad や iPhone の本来の使い方ではありません。今回の問題は、xkubota さんが、マスターにはなれない、マスターにしてはいけない iPad を無理矢理マスターとして使ってしまわれたことに原因があったのだと思います。
今回はもうし方がありませんが、今後のために一応書いておきます。もし「そんなことはとうに知ってるよ!」とか「私には私の使い方がある!」と不快に感じられたら、事前に謝っておきます。xkubota さんを不快にさせる意図はありませんので。
iOS ディヴァイスは、母艦である Mac の周辺機器という位置付けで開発されました。
「マックはデジタル時代のハブになる--ジョブズ氏基調講演レポート - ニュース - nikkei BPnet」
「用語解説辞典 | NTTPCコミュニケーションズ」
「1)デジタルハブ構想」
「WWDC 2011基調講演リポート:クラウドを中心にしたデジタルハブ――ポストPC時代の幕開け (1/3) - ITmedia PC USER」
iPad 等の、デジタルハブ(母艦)である Mac にぶら下がる周辺機器は、母艦のデータを一時的に持ち出すための機器です。ですから、原則としては
「iOS 機器内のデータ」⊆「Mac 本体内のデータ」
の関係にあります。ま、上の式は理論上であって、現実には
「iOS 機器内のデータ」⊂「Mac 本体内のデータ」
のようになっているはずです。
一時的に出先で iOS 機器で楽曲やアプリを購入しても、これは正常な状態ではないので、母艦のある場所に戻ったら、速やかに母艦と同期させて、iOS 機器だけに保存されているデータを母艦側に移す必要があります。(恐らく、Apple は将来的には iCloud を使って、母艦と iOS 機器を直接接続しなくても、自動的に同期が取られるように発展させて行くのではないかと思っています。)
「同期」させずに母艦側で、iOS 機器上で購入した商品を無料で再ダウンロードしても構わないのですが、同期されば全て自動でやってくれるのを一々手作業で実行するのも大変手間が掛かり、面倒です。
iOS 機器は、「母艦」のデータの“一部”を一時的に持ち出すものだという考え方から、iOS 機器には意図的に SD カードスロットのようなものは設けられていません。母艦に存在しないデータを iOS 機器に保存させないためです。(正確に表現すれば、母艦が“管理できない”データの保存の排除ですね。)
また、原則は通常のインターネットメールを利用する前提で設計されていますので、iOS 機器で受信したメールを外部にバックアップする仕組みも用意されていません。(恐らく意図的に用意しなかったものだと考えています。下手にそんなことを可能にしてしまうと、iOS 機器をメインマシンと勘違いして使うユーザーが出てきてしまいかねないからです。)メールは、基本的に Mac 上に全て保存されています。だから、単なるビューアに過ぎない iOS 機器上のメールは保存する必要がないのです。iOS 機器上のメールは使い捨てです。それを実現するために、Apple は例えば自社が提供する iCloud メールのプロトコルから POP3 を外し、IMAP だけにしたのだと思います。(そうすれば、iOS 機器上と Mac 上のメールのデータが完全に一致します。)
さらに現在では、母艦の Mac と iOS 機器の間で「同期」していた「連絡先」(アドレスブック、コンタクト)や「カレンダー」(iCal)も(データの不一致が発生する恐れのある)「同期」法を止め、IMAP のように、データそのものを iCloud に置き、Mac も、iOS 機器も同じオリジナルのデータを扱わせるようにして、同期させる必要性すら無くしてしまいました。(Mac の OS X の方でも、ファイルは自動的に iCloud に保存される仕組みが用意されており、例え一度も保存していなかったファイルであっても、アプリケーションの再起動後にきちんと再表示されるようになっています。)
PC やガラケーから移ってきた方々は、このような機器を、母艦と連係させずに、それ自体、単体で使うことに慣れているため、パソコンは、iPhone や iPad の「バックアップ」を取るためだと考えてしまう場合が多いようですが、方向が逆です。iPhone や iPad は母艦に保存されているデータの一部を持ち出すための機器に過ぎませんから、ある意味、バックアップを取る必要もなく(現実には取っておいた方が良いデータもありますので、バックアップも取られますが、これはどちらかと言うと、環境設定のバックアップと考えてもいいかもしれません)、iPhone や iPad のデータはいつ無くなっても良いと言う想定の下にシステムが構築されているのです。
それでも、例えば iPhone で撮った写真は、母艦側に移しておかないと、iPhone を無くしたら、写真も失われてしまいます。それを防ぐために Apple が用意したのが「フォトストリーム」という仕組みでした。iPhone で撮影した写真は自動的にバックグラウンドで iCloud にアップロードされ、Mac 側の iPhoto にもダウンロードされるという仕組みです。
と言うわけで、iPad を主に、パソコンを縦にして使う使い方は明らかに Apple が想定している使い方とは違います。また、上に書いたことを理解さえしていれば、「iPad からパソコンの母艦登録を切る(削除する)」といったことが意味を成さないこともご理解いただけるのではないかと考えます。
そうでない使い方をした場合には(できますし、実際、多くのユーザーがそのようにして使っていますが)、色々と不便な機器だと感じることになってしまいます。デジタルハブの考え方を理解して使うと、素晴らしく使いやすい機器だということになります。(この快適なエコシステムを満喫するためには、どうしても母艦としては Mac が必用になります。PC だとやはり無理があります。Google 等のサービスを使わざるを得なくなるため、シームレス性に欠けることになります。)
で、今回のように母艦を変更するという場合が現実には起こりますし、また、iTunes ライブラリのデータは結構膨大になるので、やがてパソコンの起動ディスクを圧迫するようにもなります。そこで、私は、iTunes ライブラリは、500 GB 程度の対衝撃ラバー付きの外付け HDD を iTunes ライブラリの保存先として指定してあります。これなら、パソコンの起動ディスクの容量を圧迫しないし、旅行中にも持ち歩けますし、パソコンを変更しても、その外付け HDD を接続し、iTunes の「環境設定... ⌘,」で、ライブラリを外付け HDD に指定してやるだけで、すぐ使えるようになります。
なお、外付け HDD を用意しなくても、iTunes ライブラリを、Bitcasa や Dropbox のようなオンラインストレージサービスにバックアップしておき、遠隔地でそれをダウンロードして利用するという使い方も可能でしょう。