トラブルシューティング for Mac (ハードウェア編)
修理に出して解決するのはハードウェアに起因する不具合のみです。なので、不具合に遭遇した際にはまずそれがソフトウェアに起因するのかハードウェアに起因するのかを見極める必要があります。それをせずに修理に出してしまっても悪くはないのですが、ソフトウェアに起因する不具合だとハードディスクドライブ (HDD) の内容を初期化されて返ってきて終わりとなり、結果的に無駄な時間を費やすだけになってしまいます。またハードウェアの不具合であっても、ある程度自分で症状や再現条件等を把握できていると修理の手続きもスムーズにいくし、修理先で症状が再現されず何もされずに返ってきて悔しい思いをするなんてこともなくなります。
こちらではハードウェア上の不具合が疑われる際のトラブルシューティングを中心に話を進めます。復元システム (注1 からの起動は問題なく、ソフトウェア上の不具合が疑われる場合 (注2 には下記のドキュメントをご参照ください。
一通り読んでみて「ここの意味がよくわからない」「ここまではできたけどその後どうしていいのか自分では判断できない」という場合には新規トピックを追加して質問してください。その際に、実行した内容とその結果、何がわからないのかを明確にすると返答をもらいやすいと思います。トピックでここに誘導された場合も同様にわからないことがあればそこで諦めてしまわずに質問しましょう。自力で解決した場合もトピックを放置せず、どのようにして解決したかの報告を忘れずに行いましょう。同じ不具合で悩んでいる人が後から見た際の参考になりますので (^^)。
【トラブルに遭遇したらまず・・・】
[1] データのバックアップ
まだ、バックアップを取ることのできる状態であればまずはバックアップを優先させる。
グラフィックボードの故障等でディスプレイに何も表示されない状態でもターゲットディスクモードでデータが救出可能な場合もある。
修理受付の際にはHDDの初期化の同意が求められる。検証作業で初期化が必要な場合もあるし、不具合がHDDにある場合交換することもあるためでありデータの保証はしてくれない。したがって、バックアップをとれる状態でない場合、最悪データを失う可能性があるので常日頃から定期的なバックアップを心がけるのが望ましい。
[2] 検索
大抵のトラブルには先人がいるので、検索して同じ不具合に悩んでいる人がいないか、それに対する解決策がないかを探してみる。検索のコツについては下記を参考にされたし。
【検索で解決策が見つけられなかった場合の汎用トラブルシューティング】
[1] 無償保証期間内(購入日から1年間、AppleCare Protection Planに加入していれば購入日から3年間)である場合
復元システム (注1 からも起動できない、起動しても挙動がおかしいといった場合には下記の確認を行う。
(1) たこ足配線など、電源の取り方に問題がないかを確認する (注3
(2) ファームウェアパスワードを設定していないか確認する(設定されていると復元システムから起動できないなどいろいろ制限される)
参考:Mac OS X の Firmware Password Protection の設定方法
(3) Bluetoothキーボードを使用している場合、USBキーボードで動作確認をする (注4
(4) 周辺機器やメモリ、PCIボード等、購入時に付属していたもの以外を全て外す(症状によっては、マウスやキーボード、ディスプレイも疑う)
(6) Apple Hardware Test (AHT) で診断をする
AHTでエラーが出れば修理確定だが、検出されないハードウェアのエラーもあるので判断材料の一つとして考えるのが妥当。
これらを確認した上でも正常に起動しない場合にはサポートに連絡して修理に出すことをお勧めする。
[2] 無償保証期間が過ぎている場合
対応は基本的に [1] と同じだが、自分で交換可能なパーツであれば自分で交換して修理代を安く上げたいという人もいると思う。その場合には下記もトライしてみるとよい。ただし操作に問題があってパーツの破損等が認められた場合、その後通常修理に出そうと思っても修理保証が受けられず通常より修理費が高額になったり修理すらも受けつけてもらえない可能性もあるので、そのリスクと自分の技術力を考慮した上で判断して欲しい。
また、製品側に問題があってリペアエクステンションプログラム(無償保証期間の1年を過ぎても最長3年まで無償保証が受けられるプログラム)が適用されている不具合もあるので事前にサポートページで該当情報がないかを確認するとよい。
(1) 本体内部に溜まったホコリを除去する
ダストブロワー等でホコリを吹き飛ばすのが一般的。掃除機の使用は静電気で基盤を壊す可能性があるので避けた方がよい。
(2) メモリを減らしたり、挿すスロットの位置を変えたりしてみる (注6
増設したメモリを外すのは基本だが、純正のメモリが破損している可能性もあるのでいろいろ組み合わせて試してみるとよい。
どの機種も基本交換しやすいように設計されているが、作業は十分注意して行うこと。静電気に気をつけるのはもちろんだが、ねじ山をナメたりメモリを固定している爪を破損したりというトラブルも多いので作業は丁寧に。
(3) HDDを外した状態で復元システムから起動できるかを確認する
HDDの故障状態によっては、起動音すらしないこともある。iBookやiMacなどは非常に交換がしにくいので無理はしない方がよい。
(4) 内蔵電池の電圧をテスターで確認する (注7
内蔵電池の寿命は使用環境に大きく依存する。使用時以外はコンセントを抜くなどしていると2年ほどで寿命がくることも。
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注1) 起動音と同時にcommand+RキーをAppleロゴが出るまで押し続けることで復元システムから起動することができる。
# command+option+Rを押しながら起動すれば強制的にインターネット復元を行うこともできる。
Mac OS X Snow Leopard v10.6以前のOSであれば、インストールDVDから起動する。プリインストールされたOSより前のバージョンのOSは基本的にインストールできない(一部例外あり)し、他機種に付属していたインストールDVDも使用してはいけない。
参考:お使いのコンピュータに搭載されている Mac OS よりも前のバージョンの Mac OS をインストールしないでください
コンピュータに付属する Mac OS X のバージョン (ビルド)
注2) グラフィックカードの不具合だと、復元システムからの起動やセーフモードでの起動では問題がでない場合があるので注意。
注3) 特にMac Proは最大電流が12Aと非常に電気を喰うからか電源がらみのトラブルは多い。壁のコンセントから直接電源をとる、UPSを導入するなどの対応が必要になる場合も。
注4) Bluetoothキーボードは起動時のキーコンビネーションを実行するタイミングが難しく、うまく動作しない場合があるためである。
参考:Apple Wireless Keyboards:起動時のキーを使う
注5) PPC Macではリセット方法が異なるので機種にあわせて正しく実行すること。
Power Mac G5 (Late 2004) または Power Mac G5 (Late 2005) の SMU をリセットする方法
注6) 起動時のセルフテストでビープ音やLEDの点滅が確認できる場合,メモリのエラーである可能性が高い。
Intel ベースの Mac において起動時のセルフテストで表示される RAM エラーコード
注7) デスクトップ機の場合は内蔵電池だが、ラップトップ機ではバックアップバッテリが搭載されている(iBook等搭載されていないものもある)。充電式だがこれも消耗品なので交換が必要になる場合もある。