ハードディスクの空き容量が極端に少なくなる場合の対処方法
Mac OS Xでは、Finderから確認できない不可視フォルダが多く存在します。そのため、Finderから確認できるファイル容量の合計とディスクの使用領域の間に数GBの差が生じますが、それは問題ありません。しかし、その差が10GBを超えていたり、使用中に「お使いの起動ディスクはほとんど一杯です」とエラーが出たがそんなに大きなデータを保存するような作業をした覚えはない等といった場合には、原因を特定する必要があります。ただ、Finderからは確認できない不可視フォルダに巨大なファイルが作成されるケースも多く、原因特定は容易ではありません。
このドキュメントには、原因特定に必要な操作をまとめています。問題解決の一助となれば幸いです。
[1] ゴミ箱を空にする
ファイルやフォルダはゴミ箱に入れただけでは削除されないので、ゴミ箱にファイルが溜まっているようであれば「ゴミ箱を空にする」を実行する。
[2] 再起動
再起動せず起動したまま使用し続けていると、テンポラリファイル(アプリケーションが一時的に作成するファイル)やスワップファイル(仮想メモリとして使用するファイルで、Macに搭載しているメモリが少なかったり立ち上げているアプリケーションが多かったりするとどんどん作成される)がディスクの空き容量を圧迫することがある。再起動することで空き容量が増えるのであればこれらのファイルが原因である。これはMacを使う以上避けられないので、恒常的に問題となるのであれば、ディスクの空き容量をもっと多く確保する(最低20GB以上)か、搭載するメモリを増やすのがよい。
起動時にディスクの修復やキャッシュの消去などが行われる他、他社製のソフトウェアが読み込まれないためメンテナンスにもトラブルシューティングにも有効な起動方法。下記の効果が見込める。
・ ファイルシステムに問題がありディスク容量を正しく計算できていないのが原因であればディスクの修復が行われることで改善される
・ 空き容量が少なすぎて起動できない場合、キャッシュ等が消去されることで空き容量が確保され起動できるようになる
・ 原因が他社製のソフトウェアにある場合、その起動を止めることで状態の悪化を防ぐことができ、対処がしやすくなる
セーフブートで起動途中に止まる場合はファイルシステムが損傷している可能性があるので、その場合には復元システムから起動してディスクの修復を実行するのがよい。
参考:ディスクユーティリティおよび fsck を使用して、起動時の問題を解決する、あるいはディスクをメインテナンスする
修復されないエラーが残る場合には使用を止め、ストレージを消去してOSを再インストールすることをお勧めする。
# 他社製のソフトウェア(ディスクウォーリア等)で修復できるエラーもある。
[4] 容量の大きいフォルダを確認
Finderでもリスト表示で各フォルダのサイズは確認できる(フォルダのサイズが計算されない場合は、Finderのメニューから「表示」>「表示オプションを表示」で「すべてのサイズを計算」にチェック)が、不可視フォルダやユーザにアクセス権のないフォルダについては確認できない。そういったフォルダも含めて容量の大きなフォルダを確認する方法について説明する。
◎ 方法 その1(duコマンドを使う)
ターミナル(アプリケーション>ユーティリティフォルダ内にある)を立ち上げて表示されたウインドウに下記のコマンドを入力したら、returnキーを押して実行する。
sudo du -g -x -d 5 / | awk '$1 >= 5{print}'
パスワードを要求されるので、ログイン時に使用しているパスワードを入力する。パスワードは入力しても画面には何も表示されないので気にせず入力した後returnキーを押して実行すること。正しく実行されると、ルートから5階層下までのフォルダの容量を確認し、容量が5GB以上のフォルダがリストアップされる (出力結果の数字は各フォルダの容量 (単位:GB))。すべてがリストアップされるのには時間がかかるので、プロンプト (例:username-no-macbook:~ username$) が出て次のコマンドが入力できる状態になるまで待つこと。
#最後にリストアップされるフォルダ名が / のみの項目はファイル容量の合計値なので無視してよい
◎ 方法 その2(他社製のアプリケーションを利用する)
不可視フォルダやユーザにアクセス権のないフォルダも含めて容量の確認ができる他社製のソフトウェアについて2つ紹介する。ターミナルでの操作は難しいという方はこちらをどうぞ。
#他にもいいのがあれば教えてください(できればフリーウェアで)
シェアウェアだが試用可。"Scanning as administrator" を選択して実行すればユーザにアクセス権のないフォルダの容量についても確認できる(Mac App Storeから購入するとこの機能は使えないので注意)。
フリーウェアでインターフェイスもシンプルでわかりやすいが、ユーザにアクセス権のないフォルダの容量については確認できない。ただし、ターミナルから下記のコマンドを実行するとルート権限で立ち上げることができ、ユーザにアクセス権のないフォルダの容量についても確認できる。
sudo /Applications/OmniDiskSweeper.app/Contents/MacOS/OmniDiskSweeper
[5] 原因の特定と対処
容量の大きいフォルダやファイルが確認できたら、その原因を特定し適切に対処する。まず、文書の最後にある【障害例】を確認して同じ事例がないかを探す。下記の3つのフォルダについては【注意事項】を参照のこと。
/.MobileBackups
/private/var/vm
/Users/username/Library/Application Support/MobileSync
間違っても確認作業をせず安易にフォルダやファイルを削除したりしてはいけない。例えば、privateフォルダの容量が大きいからとそのフォルダごと削除してしまえばMacは立ち上がらなくなってしまう。必ず、そのフォルダやファイルは削除しても問題のないのかを確認してから削除を行うこと。
【障害例】を確認しても同じ事例が見つからず、削除していいのか判断できない場合にはまずそのフォルダやファイル名でこのApple サポートコミュニティやアップル - サポート、Google等で検索をかけてみてください。それでもわからない場合には新しくディスカッションを立ち上げ質問することをお勧めします。
怪しいファイルはなくそれでも空き容量が少ない場合、データを外付けHDD等に退避させて空き容量を確保するか、大容量のHDDに換装することをお勧めします。空き容量が極端に少ない状況での使用はシステムを不安定にさせますし、最悪データの破損につながります。最低20GB以上の空きを確保しましょう。
◎ 「この Mac について」で確認できるストレージの内容が実際の内容と合わない場合
「このMacについて」で確認できるストレージの内容の分類はSpotlightのインデックスに基づくので、実際の内容と合わない場合はSpotlightの再インデックスを行うとよい。
◎ ノート型Macの場合
下記の2つについては正常動作なので無視してよい。
(1) Time Machineのローカルスナップショット (/.MobileBackups)
OS X Lion以降を搭載したノート型Macでは、Time Machineを設定しているとローカルスナップショットが自動的に有効になる。
参考:Time Machine のローカルスナップショットについて
OS X Mavericks: ローカルスナップショットについて
ローカルスナップショットはストレージの空き容量を圧迫することなく適宜削除される仕様であるため、Finderで確認できる使用領域にはローカルスナップショットの容量は含まれていない。従って、Finderとディスクユーティリティで確認できる使用領域にはローカルスナップショット分の差が出るが気にする必要はない。
(2) sleepimageファイル (/private/var/vm/sleepimage)
一部のノート型Macはセーフスリープに対応しており、メモリの内容はsleepimageというファイルに保存される。
OS X Mavericks 10.9以降ではメモリ圧縮によりsleepimageの容量も圧縮されるが、それより前のOSでは圧縮されず物理メモリと同容量のsleepimageが作成されるため、物理メモリが大きいほどその分ストレージ容量を占有する。
#これを作成しないようにする方法というのもあるが、バッテリーで使用することがあるのであればオフにしない方がいい。
◎ MacとiOSデバイスを同期している場合
iOSデバイスのバックアップファイル (/Users/username/Library/Application Support/MobileSync/Backup) が予想外に大きくなっている可能性がある。とりあえず、iTunesの「環境設定」>「デバイス」>「デバイスのバックアップ」でバックアップされているデバイスの名前と日付を確認し、不要なバックアップについては選択して「バックアップを削除」してみて欲しい。それでもバックアップファイルの容量が小さくならないようであれば、1回のバックアップの容量が必要以上に大きくなっているのが原因。下記を参考にカメラロールの写真を整理するなどしてバックアップの容量を減らすとよい。
関連トピック:「このmacについて」で表示される黄色の領域について
◎ ファイルシステムに問題があり、ディスク容量が正しく計算されていなかった(と思われる)例
◎ Time Machineを「切」にするとローカルスナップショットのデータも削除されるが、/.MobileBackups.trash が削除されずに残っていた例
◎ /cores 内にファイルが残っていた例
ディスク容量がいっぱいです。というメッセージが出てしまいました。
◎ ウイルスバスターが /Library/Application Support 内に巨大なファイルを作成していた例
◎ /private/var/log 内に保存されるログファイルが肥大化していた例
◎ ルートユーザのゴミ箱 (/private/var/root/.Trash) に大きなファイルが残っていた例
◎ プリンタがらみの問題で /private/var/spool/cups/tmp 内に大量のファイルが残っていた例
◎ Norton AntiVirusが /private/var/tmp 内に大量のファイルを作成していた例
◎ レガシーFileVaultにより暗号化されたホームフォルダのディスクイメージファイル (/Users/.username/username.sparsebundle) が肥大化していた例
◎ ホームフォルダ (/Users/username) 内に消し忘れたファイルが残っていた例
◎ QuickTimeがらみの不可視ファイルがデスクトップ (/Users/username/Desktop) 内に残っていた例
◎ Jingが /Users/username/Library/Application Support 内に巨大なファイルを作成していた例
◎ キーチェーンのデータ (/Users/username/Library/Keychains) が肥大化していた例
◎ メールのデータ (/Users/username/Library/Mail) が肥大化していた例
◎ /Volumes 内にファイルが保存されていた例