m.wakamatsu さんによる書き込み:
確かに CokeABE さんの内容に沿ってエディタで開いてみたところ、「かっこかぶ」や「まるいち」などの特殊文字が含まれているものばかりが化けていました。
ISO-2022-JP の本文を無理矢理 UTF-8 など別の文字コードで解釈しようとするんでしょうかね。
件名は問題ないのに…
「㈱」や「①」等は、JIS (ISO-2022-JP) では定義されていない文字です。これらの文字は、Unicode で送信しないと受信相手によって文字化けが発生します。それらの(ある意味不正の)機種異存文字を Windows 等から送信した場合、Windows では CP932 という独自の文字コードなのに、一方的に「JIS (ISO-2022-JP)」であるという情報をメールのヘッダ部分に付けて送信します。つまり嘘をついている。
この CP932 のメールを JIS (ISO-2022-JP) だといつわって送信したメールを Windows で受信すると、そちらも JIS (ISO-2022-JP) という名目で CP932 の文字コードを使っていますから、文字化けは起こらないのです。
ところが、そのメールを文字コードをきちんと管理している Mac で受信してしまうと、ヘッダ部分にある「JIS (ISO-2022-JP)」という文字コードを生真面目に判定して、JIS (ISO-2022-JP) で表示しようとして文字化けが発生してしまうのです。で、Apple Mail の場合は、受信メールのヘッダに文字コードが指定されていると、そちらを優先させてしまい、手動で文字コードを変更しよとうとしても、無視されてできない仕様になっているようです。
Apple Mail から「㈱」や「①」等の機種異存文字を含むメールを送信しようとすると、自動的に、それらの文字が正しく表示される Unicode (UTF-8) に変更して、そのメールが Unicode (UTF-8) である旨の情報をメールのヘッダに埋め込んで送信しますので、通常は Windows で受信しても文字化けは起こりませんが、古い Windows や 古い Unicode (UTF-8) に対応していないメーラーで受信したりすると、やはり文字化けを起こしてしまいます。また、いわゆる「ガラケー」は Unicode (UTF-8) に対応していないので、やはり文字化けしてしまいます。(最近はガラケーも Unicode に対応しているとキャリアが宣伝しているので、もうガラケーも Unicode にちゃんと対応していると本気で信じている人が、ベテランも含めて多いのですが、あれはインチキで、ガラケーのメールが Unicode になったのではなく、受信したメールに Unicode でないと表示できない文字が含まれていると、その部分を「?」や「•」、「�」等に置き換えて、残りの JIS (ISO-2022-JP) でも表示できる部分を表示しているだけです。au 等ではかつては1文字でも Unicode 文字が含まれているとメール全文が文字化けしてしまっていたので、Unicode の文字は無視して化けさせたままにして、JIS (ISO-2022-JP) でも読める文字だけは表示できるように改良したことを「Unicode 対応」と謳っているだけです。)
Apple は何年も前からこの日本語によるメールの文字化け問題は認識しており、頻繁に改良を加えてきていますが、「あちらを立てればこちらが立たない」状況のイタチごっこで、明示的に Windows の文字コードに対応した「CP932」のカテゴリーを導入した時期もありましたが、Windows の方が、「CP932」という自分の文字コードを認識しないため(自分では「JIS (ISO-2022-JP)」だと偽っていますから)失敗しました。では、Windows がやっているように、Mac も多数派の Windows に合わせて、本来の「JIS (ISO-2022-JP)」を捨てて、「CP932」を「JIS (ISO-2022-JP)」だと見なせばいいじゃないかと、多くの Windows ユーザーは思うでしょうが、そんなことをすれば、これまでの Mac との文字表示の互換性がなくなってしまいます。何よりも、JIS (ISO-2022-JP) に準拠したファイルが全て文字化けしてしまうという問題が残ります。
iPhone 3G が初めて日本に登場した時には、iPhone では色々な文字コードのメールは表示できましたが、新規メールは Unicode (UTF-8) になっており、他の文字コードの選択の余地はありませんでした。理由は簡単で、Unicode (UTF-8) のみでメールをやりとりすれば、世界中のどの言語もきちんと表示され、文字化けの問題もなくなるからです。
ところが、iPhone が爆発的に売れて、日本のガラケー・ユーザーたちから「メールが文字化けして読めない!」という抗議の嵐が巻き起こり、Apple も問題の大きさに、日本語のメールではJIS (ISO-2022-JP) としてデフォルトで新規作成に使うようになったようです。とは言え、1文字でも Unicode 文字が含まれていると、自動的に Unicode (UTF-8) で送信され、文字化けの被害を最小限に抑えるように試みます。
Thunderbird を使えば、Apple Mail では手動で文字コードを変更できず、文字化けが解消しないメールでも、文字コードの変更を受け付け、読めるようになる場合がほとんどです。では、Thunderbird を使えばいいじゃないかという考え方もあるでしょうが、ところがどっこい、今度は Thunderbird の方で文字化けしてしまい、Apple Mail じゃないと読めないなんていう場合もあるのです。(基本的に Thunderbird は Windows と同じテキストエンジンを使っているようです。だから Windows で作成されたメールとの親和性が高いようです。)また、画面表示は Apple Mail の方がはるかにセンスもよく、美しいので、捨てがたいものがあります。(私の周囲には、この Mac の Apple Mail を見て、その美しさのあまり Mac に乗り換えたという人が何人もいます。)
私自身は背に腹は代えられないので、Apple Mail と Thunderbird の両方でメールを平行受信しています。
受信するのが自分の場合には、このように(多少面倒くさくても)対応できますが、問題は相手の方です。相手に、どのようにするように指示するわけには、特に取引先などの場合にはできませんので、悩ましい所です。とりあえず、私の場合は、メールを送信する時に、手動で文字コードを Unicode (UTF-8) に指定してから送信するようにしています。裏技で、新規メールのデフォルトの文字コードを Unicode (UTF-8) に指定する方法もあります。ライブラリの中の plist ファイルを書き換える必要がありますが。
恐らく、この問題は困りものではありますが、ガラケーや Windows のメールが完全に Unicode に移行するまでは根本的な解決方法はないと思います。Windows は OS レベルでは Unicode なのですが、個別の国産アプリのレベルで Shift JIS というものが多く、トラブルの元になっています。しかし、少しずつ Unicode への移行は進むでしょうし、ガラケーもやがては Unicode に変更せざるを得ないと考えています。ガラケーの文字コードはキャリアの決断次第ですから、意外とある時に「えいやっ!」と一斉に Unicode に替わるのではないかと予想しています。
いずれにせよ、Apple はこの問題に関して無策なわけでも、ユーザーの声を無視しているわけでも、無能なわけでもありません。対策の方法が存在しないのです。